ときをかける

青春をすごしたまち。はじめてバイトしたまち。

そしていま、またその近くに通っている。まだまだ新人と呼ばれるわたしだが(職場ではね)

このあたりをにじゅうねん前にもうろうろしてたのは私くらいなものだろう。

ランチがひとりだったので、昼下がり、

ときをかける旅にでてみた。

バイトしてた雑貨やはなくなって久しい。立ち退きで建物そっくり新しくなってしまった。なかった場所に道がある。

そんな横丁みたいなとこに、昔ランチした定食やがまだひっそり店を開けてるのを発見した。

当時わたしは学生で学校帰りに夕方から入るバイトだったので、バイト先でランチ自体した記憶はないのだけど、朝から入る同僚の気に入りの洋食やだったので何度か連れていかれた気がする。細長い木のカウンターの狭い店内。

おそるおそる半開きのドアをあけてみると、コック姿のご主人とエプロンの奥さん。客はいない。もうランチタイムもおわりだ。

日替り定食は挽肉カレー炒めと貝柱のフライ、大根の煮物しみしみ、スープにごはん茶碗のごはん。なんだかとっても心にしみました。

おしゃべりな私は、ひとりだったけど、

黙って食べられるわけはなく、昔きたこと、あそこでバイトしてたこと、ここのお店の名前を忘れていなかったこと、などなど、はなす。

さいごには、なぜだか奥さんと子供がムズかしいお年頃ってなはなしになって、はげまされたような、はっぱかけられたような、びみょうな感じで、さすがに年月の流れたこと自覚しましたけど。

とことこと歩く道は

にじゅうねん前とつながっていて

ひょっこりどこかにワープしそうで しなくて

そしてまた、午後の職場に戻っていくわたし。