11:33 pm

今日は、大事な人の誕生日だった。

大事な人とは…わたしを産んでくれたひと、母だ。

彼女は、わたしにとって大切な人であることはどこに暮らしていても変わりないのだが

いろいろあって、今、彼女を遠ざけている

わたしが母を遠ざける直接の理由は、母にはない

母娘だから、今までいろいろな曲折もあった

小さな傷が 「何か」がきっかけで 大きな亀裂になっていくような 

すっかり大人になった今なのが口惜しいが そんな「何か」に翻弄された

否、翻弄されたのではない 来るべくして時がきたのだ たぶん

   

母は、いちばんのわたしの理解者になりたいのだろうが、

わたしはいちばん彼女に打ち明けたくない 

ともかく  今は彼女を拒否したい 適当が通用しない相手だとわかるから   

 

わたしが彼女の誕生日に電話をしなかったことは、たぶん今までなかったろう。

いや、あったとしても、翌朝はやくにしていたろう。

それは、しがらみでもあった

母をがっかりさせたくないから 強情だけど人一倍弱い人だから それを一番知っているのはわたしだから

そして、今日の日が来るのが苦痛だった 単に母の誕生日というだけなのに

もしかしてこの日がくれば 気楽な気持ちで 「おめでとう」って、たわいない話して…

電話できるといいな と思ってた

けど   とうとうならなかった 今日という日は終わってしまった

「お誕生日なんて いい歳して気にしてなんかいないわよ~」なんて  本気でも嘘でもいうようなタイプの母ではない まずそんなこと思わないもの

直球勝負だ。悲しかったら悲しい。辛かったら辛かったって気持ちを投げてくる人

わたしは母とは違うと思っていた

が、ある意味 わたしと似ているのだった

今、彼女を見て見ぬふりをするのは わたしに今、自分を突き動かしても彼女を受け止める心のゆとりがないからだ

ある意味 母がわたしに持っている救われない報われない気持ち わたしの中にも十分みつけることができるのだった

人の心は 一方通行しかないときも 実に多いのだね そんなこと何を今さら?なんだけど ふと思う

自分の気持ちは 結局、自分でしか変えられるものではないこと

そして相手の気持ちも 相手にしか変えられない

わたしがこんなに言ってるんだから いつか伝わるだろう

いつか相手の気持ちが変わるかも いや、変わるだろう わたしが正しいのだから 

その期待は非情でむなしい

.......

「たんじょうび おめでとう」「子供の頃おかあさんがつくってくれたドーナツを思い出してたんだよ」

でも今は心の中で言うよ 

強情なところ 誰に似たのかわからない娘より