電車のなか
前の座席に
街でショッピングの帰りらしいアパレルの紙袋をさげたご夫婦、年の頃三十代終わりか、四十路はじめか。奥さんきれいだな。
色白で目鼻立ちがはっきりしている。お化粧は全然濃くないのに。つい見てしまうのは、きれいだからなんだな、きっと。
…ただ、ワンピースの丈がみじかくないか。せっかくの彼女の雰囲気を中途半端にさせてないか。可でも不可でもないかんじのサンダル(と人の趣味に余計なツッコミだ)に肌色ストッキングはどうか…。というか、サンダルの意味はなくはないか。(美人のアラをさがす女、それはワタシさ)
自慢の奥さんだろうな、とご主人を見る。
ポロシャツにカーキのズボン(パンツというよりは、なんかずぼん)のご主人、ちょっと太めになってしまって、白髪がある髪のせいか奥さんより老けて見えるけど、よく見るとハンサムな顔立ち。きっともうすこし若い頃は美男美女と言われたカップルと思う。奥さんの隣の席が空いたとき、すこし離れた場所にいたご主人に、席を促した奥さんの笑顔がちょっと嬉しそうで、色っぽかった。(女のわたしにもそんなふうに見えた)
アナゴさん(もちろんサザエさんの)に似てる人が乗ってる。で、髪型はオールバック。細身のパンツ、丈が短い。とんがりめの黒靴。ロックンローラーアナゴさん?
もう降りてっちゃったけど、ハイキング帰りの老人男女、女二人に男ひとり。どっちと夫婦なんだろ?もしくはみんなフリーかも?(だって夫婦ってわかるものじゃない?)おじちゃんは、女性ふたりにはさまれて腰掛けており、なんだかとってもうれしそうだった。メッシュのポッケのいっぱいあるベストを着て。キャップにいっぱいバッジがついてた。ああいう老後もありなんかもね。
郊外のニュータウンのとある駅で、美人奥さん夫妻は降りてった。子供たちは家でお留守番だったのかも。ニュータウンのお出かけ美男美女夫婦。しあわせな家庭。(という空想)
アナゴさんはまだ寝てる。
そんな土曜の午後。